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歴史系総合
- 57 名前:名無しさん 投稿日:2007/09/03(月) 20:20:06 ID:4DywIhFE
- 5ヶ月放置しても落ちない総督府は素晴らしい。スパマ対策には感謝です。
>>45で見た毛谷村六助の話。
金京欄: 「韓国の「論介」説話と浄瑠璃『大功艶書合』及び改作について」、
『演劇研究センター紀要』V、39-45頁、2005年1月
という論文を読んだ。後で調べると、以前の論文を合わせて、『日・韓語り物
文芸における女性像と担い手たち』というD論の一部として公開されている。
ttp://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/5281
正直言って、何を根拠に何を主張しているのか、論理展開がわからない。「演
劇学」なるものがどういう方法論を持っているのか知らないが、日本と韓国の
文学を比較してウダウダ言っているだけなら問題ないし、漏れも評価しようが
ないから、華麗にスルーする。ところが、金は歴史について2つ重大な主張をし
ている:
* 毛谷村六助が論介に殺されたのは史実
* 浄瑠璃/歌舞伎の作者はその話を知っていて劇に組み込んだ
そうなると、何を根拠にしているのか気になるが、肝心の部分がぼやけている。
金の論理を追っていくと、毛谷村六助が論介に殺されたという前提から出発し
て、両国の文学を比較、似ている部分があれば韓国の説話の影響だと主張し、
毛谷村六助が論介に殺されたのは史実だと結論付けている。トートロジー。2
点目についても、『大功艶書合』の作者が「大陸事情に非常に詳しい人物」だ
からで片付けている。いくら「演劇学」が史学じゃないといっても、これはひ
どいのではないか。
史学がらみの主張をしているけど、金がやっているのは「文学を比較してウダ
ウダ言う」ことだけ。それ以外の作業は、事典や他人の著作を引くだけ。でも、
本当はやるべきことはいろいろある。
絶対欠かせない基礎作業は、現在伝わる毛谷村六助 (貴田孫兵衛) の話から、
史実と後世の脚色を分離すること。そのために、浄瑠璃や歌舞伎の台本や講談
本の系統関係を明らかしなければならない。特に、『豊臣鎮西軍記』が、撰者
不明として書誌学的な検討なしに放置されているのは問題。
もう一つは、槻木村に残るという毛谷村六助の史料をちゃんと分析すること。
これらは、江戸時代半ばに毛谷村六助が脚光を浴びてからでっち上げられた可
能性があると思う。水野が引いている
中村彰彦: 「歴史グルメほど、ひっかかる「偽書」誕生の心理学」、『諸君』
34 (6) 臨時増刊号、78-88頁、2002年5月
は、「大分県山国町に墓があることから見て無事生還した可能性が高い。」と
言っている。でも、崔官によれば、その「木田孫兵衛墓」からは「明治十四年
甲辰四日」と読み取れると言う。これを怪しまない神経が理解できない。
『毛谷村六助畧縁起』は、「享保元 (1716年) 丙申七月写之」と記されている
という。一応、日付の上では天明6 (1786) 年の『彦山権現誓助剣』の初演より
も古いことになるが、怪しさ満点。ちなみに、崔官が写真と写しを載せている
が、写真と比べると写しは明らかに一部だ。全文検討すればボロが出るかもし
れない。
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